FLOWER PRINT







N u m b e r    0 1







花柄は気分があがる。
それは絶対的に否定できない事実なのに
自分の顔に合わせて鏡をのぞくと
どこかフィットしてないと感じたり
柄に顔が負けている錯覚に苛まれ
いつのまにか最も手を出しにくい
アイテムになってしまった。

ベーシックやカジュアルが好きな
私にはやっぱり無地が一番、と
結論づけていたけれど、
それが一瞬で変わったきっかけは
このジャガードとの出会い。






N u m b e r    0 2





描いた後に水で薄めたような
水仙の柄が、私にすっと溶け込む。
立体感や透け感から生まれる女らしさ
があるのに、その主張は柔らかで、
決してソワソワとはさせない。

そのリラックスした雰囲気は、
花柄を諦め、すっかり遠のいていた
オトメ心をほどよく華やがせる。
カジュアルな日常と女らしさが
両立できないなんて決めつけていた
今までの私は何だったんだろう。
今日はこれを着て出かけよう。
あの人のほころぶ表情も見たいから。









N u m b e r    0 3





ブラックドレスの安定感もいいけど
綺麗な色の花を纏ったときの
清々しい気分は格別なものだと思う。
例えば昼間のテラスに選びたいのは
こんな白地のフラワープリント。

スカート見えパンツの、緻密に
ギャザーが施された軽やかな生地が
風が吹くたび心地よく空気をはらみ
ワクワク感を助長する。
こんな気分が上がっているのは
久々に会えた友達との時間や
美味しい食事だけが理由じゃない。

グラスの中の氷やカトラリーが
光を受けているのと同じように、
この服も、そして私自身も
夏の陽を味方につけて輝いている。
たまには私にも、そんな風に
思える日があっていい。






N u m b e r    0 4





その華やかさは明るい陽の下で
最大限に発揮されるもので、
とかくディナーではあまり意味が
ないというフラワープリントの
イメージは単なる思い込み、
と気付かされたのはある日の夜。

ムードの良いレストランで
私は一人の女性に目を奪われた。
美しく咲く一輪の花のように
華やぎのあるその人は、
花柄のドレスを纏い、繊細なレース
がデコルテを美しく覘かせている。

決して派手なわけではないのに、
少し暗めの照明の空間でも一人
明るく照らされているようだった。
彼女が席につくと、その雰囲気に
つられるように一瞬で周りが華やぐ。
私もこんな女性になりたいと、
強く感じた出来事だ。






N u m b e r    0 5





それから数日、偶然にも
あの素敵な人と同じ柄のドレスを
見つけてしまった私。
レースが施されてはいないけれど、
間違いなくこのプリントだった。

私が出会ったそれは、
幾通りにも遊べるボウタイと、
歩くたびに表情豊かに揺れるよう曲線
にカットされた裾が魅力。
あの華麗さに想いを馳せながら、
まったく同じドレスじゃないところ
が私らしい、と心の中で呟いた。




N u m b e r    0 1



花柄は気分があがる。
それは絶対的に否定できない事実なのに
自分の顔に合わせて鏡をのぞくと
どこかフィットしてないと感じたり
柄に顔が負けている錯覚に苛まれ
いつのまにか最も手を出しにくい
アイテムになってしまった。

ベーシックやカジュアルが
好きな私には
やっぱり無地が一番、
と結論づけていたけれど、
それが一瞬で
変わったきっかけは
このジャガードとの出会い。




N u m b e r    0 2



描いた後に水で薄めたような
水仙の柄が、私にすっと溶け込む。
立体感や透け感から生まれる女らしさ
があるのに、その主張は柔らかで、
決してソワソワとはさせない。

そのリラックスした雰囲気は、
花柄を諦め、すっかり遠のいていた
オトメ心をほどよく華やがせる。
カジュアルな日常と女らしさが
両立できないなんて決めつけていた
今までの私は何だったんだろう。
今日はこれを着て出かけよう。
あの人のほころぶ表情も見たいから。




N u m b e r    0 3



ブラックドレスの
安定感もいいけど
綺麗な色の花を
纏ったときの
清々しい気分は
格別なものだと思う。
例えば昼間のテラスに
選びたいのは
こんな白地の
フラワープリント。

スカート見えパンツの、
緻密にギャザーが
施された軽やかな
生地が風が吹くたび
心地よく空気をはらみ
ワクワク感を助長する。
こんな気分が
上がっているのは
久々に会えた
友達との時間や
美味しい食事だけが
理由じゃない。

グラスの中の氷やカトラリーが
光を受けているのと同じように、
この服も、そして私自身も
夏の陽を味方につけて輝いている。
たまには私にも、そんな風に
思える日があっていい。




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その華やかさは明るい陽の下で
最大限に発揮されるもので、
とかくディナーではあまり意味が
ないというフラワープリントの
イメージは単なる思い込み、
と気付かされたのはある日の夜。

ムードの良いレストランで
私は一人の女性に目を奪われた。
美しく咲く一輪の花のように
華やぎのあるその人は、
花柄のドレスを纏い、繊細なレース
がデコルテを美しく覘かせている。

決して派手なわけではないのに、
少し暗めの照明の空間でも一人
明るく照らされているようだった。
彼女が席につくと、その雰囲気に
つられるように一瞬で周りが華やぐ。
私もこんな女性になりたいと、
強く感じた出来事だ。




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それから数日、偶然にも
あの素敵な人と同じ柄のドレスを
見つけてしまった私。
レースが施されてはいないけれど、
間違いなくこのプリントだった。

私が出会ったそれは、
幾通りにも遊べるボウタイと、
歩くたびに
表情豊かに揺れるよう
曲線にカットされた裾が魅力。
あの華麗さに
想いを馳せながら、
まったく同じドレスじゃない
ところが私らしい、
と心の中で呟いた。